世界的にベストセラーとなった「話を聞かない男、地図が読めない女」の著者であるアラン・ピーズ&バーバラ・ピーズによる「目的をかなえる具体的方法論」の備忘録です。「ブレイン・プログラミング」
この本は単なる自己啓発本ではなく、二人の不屈の再出発の実話が最終章に書いてあり、実はそこが一番説得力があり面白かった。
ふたりは初めにオーストラリアで「ボディ・ランゲージ」という本を出版し、テレビ番組やドキュメンタリーで成功を収め、15年間順風満帆の人生を送っていた。が、1994年、ある判断の過ちによって全てを失う。家・別荘・高級車・クルーザーも・資産も現金も自尊心も消え失せ、莫大な借金が残った。その後アランはうつ病になり、甲状腺に腫瘍まで見つかるという2年間を過ごした。
そして二人は再出発を決意した。「新しいベストセラー本を書く」と。
その後イギリスへ渡り、ほとんど知り合いもいないところから再出発することにした。自分が書きたいことを書くのではなく、ビジネス的にうまくいくよう「人がお金を出してでも読みたくなる本」を書くことに決めた。
それが世界的ベストセラー「話を聞かない男、地図が読めない女」 となった。
(夫婦喧嘩した時にタイトルを思いついたらしい。 「話を聞かない男、地図が読めない女」 は、男女平等というのは政治や道徳ではそうだが、実際 男女の脳の違いを理解した上でいかに摩擦を避ける行動をとるべきかといった内容)
★★★夢(目的)をかなえる方法とは★★★
1.脳のRASという仕組みを活用する。
RASとは哺乳類の脳幹にある「網様体」という神経の集まりで、体の生命活動を維持する働きをする。何か特別な物事に関心がある時、それに関係する情報がぱっと目に飛び込んできたりすることがある。特定の車を買いたいと思っている時にその車が目に付く、など。
時に「GPSシステム」のように働き、情報を集め、自動的に目的に近づくことができる。
※これは私も経験しました。若い時はインテリアデザインの仕事をしていましたが、夫の転勤で地方都市に二人の幼子と共に引っ越し幼稚園ママをしていたある日。東京に戻ったら仕事をしたいけどどうしようか考えていた。新聞に近くの大学の公開講座でパソコンの講座があるのを見つけた。これだと思って通い出したのが後にwebディレクターになる出発になりました。
2.自分の望みをはっきりさせる。
RASをうまく働かせるには、やりたい事を書き出す。目標、興味のあること、行きたいところ、習いたい事、習いたい楽器、学びたい言語などなど全てを。明確な目標「Aリスト」「Bリスト」 「Cリスト」を優先順位をつけて作る。できるところからそれを今すぐ始めてみる。
また、始めてみなければ「本当にやりたいこと」はわからないのも事実だ。
※オーストラリアの緩和ケア病棟に勤務する看護師ブロニ―・ウェアの本によると、死を前にした多くの人が後悔していたこととして次の5つを挙げた。
ブレイン・プログラミング
「もっと幸せな生き方がしたかった」
「友人たちともっと多くの時間を過ごせばよかった」
「自分の気持ちを素直に表現すればよかった」
「あんなに働かなければよかった」
「他人に期待される人生を生きるのではなく、自分が望むような生き方を貫けばよかった」
なるべく後悔しないためにはどうすればよいか真剣に考えてみよう。
人生を振り返った時、「あんなことをしなければよかった」と思う方がいい。
「あんなこともしてみたかった」と思うよりは。(ルシル・ポール:20世紀のアメリカのコメディアン)
3.期限を切って取り組もう。(決心を強くするため)
4.他人が何と言おうがやりたいことをやろう。
大谷翔平さんが大リーグに行った時、多くの人が二刀流は無理だからどっちかにすべきだと言ったらしいが本人は貫いた。
5.自分の人生に責任を取ろう。
今、自分がどういう人生を生きているかは、それがいい人生であろうとなかろうとすべてあなたの責任である。今までは環境のせいであっても、RASの仕組みを理解した今、自分の人生を歩きだそう。(例外はある。例えば精神疾患、脳の回復不可能な傷、病気、徹底した弾圧に苦しむ社会に生きている場合。)
※「徹底した弾圧に苦しむ社会に生きている場合」というのは今の時代でも結構ある。例えば日本でも昭和な時代から様々な差別があり思うような人生が送れないことがある。就職氷河期、男女差別、他・・・。私の解釈ではそれでも自分に出来得ることをやって何とか生き延び(生活保護でもいい)、よく生きたと自分をほめよう。
ジャンクフードを選び、口に入れる手もあなたの手だ。定期的に運動しないことを選んだのもあなただ。愚かな論理を振り回してタバコやお酒に手を出すのもあなただ。身勝手な友人、自分のことしか話さない人といつまでも付き合っているのもあなただ。(耳が痛いところは自分が気になっていることらしい。)
ひどい国に生まれた場合でも、その国を出られるなら出よう。天災も事故も病気も、「その時点からどう考えるか」が大事だ。
選べるのは二つにひとつ。「前進するか言い訳するか」
選択を誤ることは「人生のレッスン」である。学ぶべきことがあるから起こったこと。
結果はあなたに真実を語る。
あなたが人から受ける扱いは、その人がどういう人かを物語っている。あなたがどういう人かを物語っているのではない。
6.イメージトレーニングの大切さ
具体的にイメージトレーニングしてみる。目標達成までに起こりうる障害・挫折などもイメージすることが大切。スポーツ選手の実験でも「イメージトレーニング」には実際の練習とほぼ同じ効果があった。
7.自己暗示(アファメーション)の威力
言葉に出したことは実現する。やろうとしていることを常に繰り返し自分に言い聞かせる。
※「ありがとう」と「幸せだ」を毎日たびたび言っていると本当に幸せになる、ということも聞いたことがあります。これもアファメーションと言われていますね。
「できない」ではなく「きっとできる」。ネガティブな考え方は悪い現実を実現させてしまう。ポジティブシンキングは大事です。
あなたは「身近な友人5人の平均的な存在」になっていく。環境が人に与える影響は思ったより大きい。(子どもの通う学校選びが意外に重要な訳はこれですね!)あなたのストレスになる人ではなく、あなたから最善の資質を引き出してくれる人とつきあおう。
人生では誰のことも責めるな。
ブレイン・プログラミング
いい人々は幸福をもたらしてくれるし、
ありがたくない人々は経験をもたらしてくれる。
もっとも始末に負えない人々はレッスンを授けてくれるし、
最高の人々は思い出をくれる。
望むことに意識を集中し、望まないことを考えてはいけない。起こってもいないことのための不要な心配はやめよう。
8.ストレスに打ち勝つ
もっと笑いを味方にしよう。笑いには免疫機能を活性化させる働きがある。
パリでの実験がある。体外受精を受けた直後の219人の女性の半数に、20分間ピエロの恰好で記述やジョーク・手品やコメディーで笑わせた。すると、笑わせた方の36%が妊娠したのに対し、笑わせなかった方は20%だった。
また、慢性的なストレスがあると、がんになりやすい。
2分間笑うとストレスホルモンが減ることがわかっている。もっとお笑い番組を観ようと真剣に思った。笑
著者のアラン・ピーズの父親は保険の外交員で「平均の法則」を教えてくれた。アランが11歳の時、放課後ゴムのスポンジを家を訪問して売り歩いた時「平均10人の家を訪問すると1~2人」は買ってくれた。子どもにとってこれは大金だった。だから8件の家に断られても全然へこたれなかったらしい。いかに多くの家を訪問するかに集中したという。
著者の二人は、イギリスに着いてから、片端から出版社に電話したり(最初はすべて断られた)、自費出版して本を出版社や評論家に送り届けたり、その本が店頭にないか匿名で本屋に電話をかけまくったりいろいろあって、やっと出版してくれる出版社を見つけたとのこと。そして不屈の再起を果たした。
一番夢中になれることに時間を使っているか。
ウォルト・ディズニーは、新聞社から「創造性に欠け、オリジナルな発想がない」という理由で解雇された。
人気司会者オブラ・ウィンフリーは「テレビに向いていない」という理由でニュース番組のキャスターを降板させられた。
ビートルズは、デッカ・レコードのオーディションを受けた時「彼らのサウンドは気に入らない。ショービジネスで彼らの将来は見込めない」という理由で落とされている。
アルバート・アインシュタインでさえ、学校時代の成績表に「大人物にはなれそうもありません」と書かれている。
勝者とは、失敗しない人ではない。決してあきらめない人だ。