NHK/Eテレで「世界の哲学者に人生相談」という番組がありました。面白い番組でした。そこに解説者で出ていらしたのが、小川仁志先生。商社マン(伊藤忠商事)、フリーター、公務員を経て哲学者になったという異色の経歴を持つ方です。以下の本の備忘録です。
1「結果を出したい人は哲学を学びなさい」
・心理学者でもあるアルフレッド・アドラー。「課題の分離」「人は人。自分は自分。」
人と比べず、自分はどうありたいかが最も大切なこと。どうすれば自分は幸せなのか、自分にとって何をすれば得になるのかを冷静かつ客観的に分析してみよう。自分の中に価値観を築き上げること、これには今まで学んできたことや、経験、身に着けてきた教養が必要です。若い時はわからなくてもだんだんわかってきたりするのは経験を積むからでしょう。人生とは今ここで、自分の踊りを踊れば良いのです。
私もアドラーの考え方が好きです。回りに振り回されることがなくなります。
アドラーといえば、少し前にベストセラーとなった「嫌われる勇気(岸見一郎:著)」は私のイチ押しです。
・古代ギリシャの哲学者プラトン:愛とは相手を追い求めること。
「夫婦関係はなぜ大概うまくいかないのか。」愛とは手のかかるもので、努力を怠ると残念なことになります。奥さんに邪険に扱われる理由は、自分も相手を邪険に扱ったからでしょう。
・エマニュエル・レヴィナス:人間は自分の力だけでこの世に存在できているわけではない。周りの人のお陰で自分がある。ゆえに人間誰しもが他者に対する無限の責任を負っている。それを倫理と呼ぶ。
・老子「足るを知る」
・エリック・ホッファー「平凡のありがたさ」
●「忖度はなぜいけないのか」・・・より良い世の中に変えるためには一人の勇気ある行動が必要。最近以前より勇気ある行動をする人が増えて、世の中が変わりつつあるように思います。
私もなるべくいつまでも自分で考えてちゃんと「わきまえない人」であり続けたいと思います。
●「空気を読む、もほどほどに。」勇気を持って発言しよう。同調圧力に屈しない。
●お金の価値は目的で決まる。・・・有益なことに使おう。持っているだけではただの紙。使わないと意味がない。
●教養はなぜ必要なのか。
教養教育(リベラルアーツ)とはまさに資本主義から自由になるための教育だ(ガーリー・ガッティング)。高度な知性と精神性を備えるため単なる知識ではなく「知識のための知識」を身に着ける場であるべき。資本主義に束縛されていると目先の利益にのみ固執してしまうが、その時教養があれば既存の価値観を覆し、与えられたルールを抜本的に変更することが可能になる。
これまでの大学は教養人の育成に失敗してきたかも知れない。
★大学を生産性の面から見て、4年で学ぶことを1年で教えて生産性をあげよう、という向きもあるがそれでは教養を身に着ける時間まではないかも知れませんね。難しい問題ですが。やはり今の大学学費が今の日本人の平均年収に比べて高すぎるようになってしまったことが格差にもつながるので、ここは政治ですぐ何とかなりませんかね。
●公立の教育だけでは不十分だから、塾へ行く。
→小川先生もおっしゃっております。私も実体験からその通りと思います。大多数の人は公教育を信じて子どもをまず公立の小学校へ入れるが(家から近いし近所の友達もいるから。)、高学年になり画一した教育に不安を持ち私立中学を選んだりする(我が子の時はちょうどゆとり教育が始まった。。)。私立の(進学校など)方が少なくとも勉強をちゃんとさせてくれる(ように見える)。実際、大学進学率がPR材料となるので大学進学には力を入れている。
公立小学校でも、勉強が好きな子は別のクラスにするなど伸ばす教育をすれば良いと思うが、先生方は雑務・部活で多忙で手が回らないのだろう。勉強をさせたいなら塾へ行ったりお金のかかる私立中学に行って、という態度がずっと続いているのは国としてどうなのか。文科省の方々何とかなりませんかね。
特にコロナ禍の今、お金がなくても高度な教育を受けられるニッポンであって欲しい。
ニッポン、時代の変化に鈍感すぎると思いませんか。
●「どうして勉強しなければならないの?」と子どもに聞かれたら何と答えるのか。
→チャンスを逃さないため。例えば英語を勉強していれば、海外に研修にいくチャンスがあった時に選ばれやすい。学校を出たら競争社会。
また、単純に何かを知るってとっても楽しい。
●どうして頑張らなければならないの?
→自分の良心に勝つため。良心とは、もっと頑張れたんじゃないか?という心の中の裁判官。
●いじめはいけない?
→人と違うところがあるといじめるのは、自ら自由を放棄しているようなもの。それぞれ人と異なる自由を選べなくなる。画一的にしていなくてはいけなくなる。皆が安心して自由に個性を持って存在して良いのが理想。
●働くとは?
→誰かに喜んでもらえて、評価される。働くことへの対価は正当であるべき。同じ仕事なら同じ対価。身分で異なるのはおかしい。
同一労働同一賃金でないといけない理由もここにあるのでは。
●なぜ仕事、人のために何かをしないといけないのか。
→何もしない、ということはフリーライダー、つまりタダ乗り。みんなに任せておいて自分はおいしい思いだけをする。人はひとりでは生きられない。共同体に属している以上、共同体のために何かをするべき。自分にできることはどんなことでも良いのでするべき理由はこれです。
●どうして犯罪をしてはいけないか。
→人間ではなくなり、動物と同じになってしまうから。
●お金持ちの方が幸せ?
→お金では買えないものがある。知る喜び。知を求め続けるソクラテスであれ。
イギリスの思想家J・S・ミルの言葉:満足した豚であるより不満足な人間の方がよく、満足した馬鹿であるより不満足なソクラテスの方がよい。
「ジブリアニメで哲学する」という本も読みました。小川先生のジブリアニメの解釈が面白いです。
宮崎駿さんは、ジブリ映画を、ディズニー映画と比べて「入口の敷居を低く、出口を高くした。」と言っていたとのこと。きっと映画を観終わってから何か心に引っ掛かり、考えさせることを意図していたんですね。
大体、主人公は真っすぐで、ゆるぎない価値観を持っていて、努力家の「女の子」だったりする。その子たちが苦労しながら?成長していく。宮崎駿さんの日本の少女達へのエールだと私は思っていた。
小川先生も、皆ジブリアニメを観て、自分なりの解釈をすれば良いと言っていたと思う。
「ハウルの動く城」、世界観が独特で、登場人物は自分のゆるぎない価値観を持っている。シチュエーションも独特で、設定として扉についている「ガチャガチャ」を変えると、外の環境が変わったり三次元世界を想起させて面白いです。音楽・久石譲「人生のメリーゴーランド」もとても物語と合っていて素敵でしたね~。