「恍惚の人」有吉佐和子

book/家族/生活/考えごと////
  1. ホーム
  2. book
  3. 「恍惚の人」有吉佐和子

最近この方の作品がNHKで取り上げられていた。書かれてから4~50年経つが色あせず共感できると再評価されているらしい。そういえばまだ読んでいないと思い、図書館で借りて「恍惚の人」を読んでみた。
あらすじは、

ーーー
「主人公は働く主婦で、高校生の息子がいる。杉並に住み銀座あたりで働き、帰りにはデパ地下で総菜を買って地下鉄で最寄り駅の新高円寺駅から家に帰る。夫との出会いは働いていた商社で、結婚して同じ職場では働けない決まりなので転職した。夫の両親と同じ敷地内に離れを建てて二世帯で暮らしている。
そして舅のボケが始まりその世話と仕事で大変な毎日となる。」
ーーー

50年ほど前に書かれた本。にしては、先取りしている。有吉佐和子は私の親の世代。共働きのハシリの世代なのだろう。少し先取りの設定だったのかも。
私の時代には共働きは多くはなったが、自分か夫の親が近くにいないと働くにはなかなかに困難な状況であった。

読んでみたら、東京の私の生活圏内が舞台であったので親近感がわいた。私も銀座の小さな広告代理店で働いてデパ地下で食材を買って帰っていたこともあったな。
東京では会社がある都心から住まいのある郊外まで、電車で片道1時間はかかるのだ。17、18時に仕事が終わって食材買って、子どもが待つ家に帰って食べさせて洗濯したり。朝は高校生の子どものお弁当も作った。夫はあてにできない。状況は本と同じだ。
だから現代では食器洗浄機と洗濯乾燥機は必須だ。

話が逸れたが。笑
本の中の舅はボケて徘徊し、青梅街道を新宿方面や荻窪方面に脱走したり、ラストの方では練馬の豊島園の先まで徘徊して警察のお世話になったりする。場所も目に浮かぶよう。

50年前、有吉佐和子「恍惚の人」で、寝たきりや認知症になった親の介護に追われる家庭が、実は増えているという状況が語られた。当時この本がベストセラーになったお陰もあり介護問題がクローズアップされ、今の介護保険のシステムができるきっかけにもなったという。
ほんと良かった。
日本はすごいと思う。
今、こんなに少子高齢化になって、高齢者のデイサービス等がなかったら大変だ。誰も働けなくなる。
当然、介護職や保育職の賃上げも必須だろう。

有吉佐和子のWikipediaを見ると、

デビュー当初、有吉はマスコミからは曾野綾子とならぶ「才女」ともてはやされたが、芥川賞・直木賞とも候補に終わった。ある男が編集長の間には「群像」にも掲載されなかった。一部を除き、同時代の批評家をはじめとする文壇からは敬遠されていた。(Wikipedia

文壇よ、お前もか。。
文壇もまだまだ男性中心社会で、優秀な女性に対し嫉妬や差別があったのかも知れない。
瀬戸内寂聴などもそうだが。。
会社でも、男の人の嫉妬はあるからなぁ。女性が生きづらい社会は令和の今もまだある。
子供が増える訳がない。

有吉佐和子「青い壺」も話題になっていた。面白そう。読んでみようと思う。

私も長年、東京中を駆け回って自分なりにプライドを持って仕事をし、子育てもしてきたことはまあ「やり切った感」は感じる。これでいいのだ。

★Amazonで欲しいモノを手に入れよう