小泉今日子さんの本「黄色いマンション 黒い猫」、すごく良かった。雑誌「SWITCH」に連載されたエッセイをまとめた本。
その前に読んだ林真理子さんの「美女は天下の回りもの」に、「感性がすごい。透明感のある文章」のようなことが書いてあったので興味を持って読んでみたのですが、キョンキョンの山あり谷ありの50歳になるまでの人生が素晴らしい文章で綴られています。
小泉さんは中学生の頃、厚木の実家から週末に原宿に遊びに来ていたそう。デビューから数年間は原宿に住んでいた。その原宿の景色や思い出、子どもの時のこと、お父さんやお母さんのこと、一家離散の話、二人の姉のこと、高校生の時に始めた芸能界の仕事、友だちやボーイフレンドのこと、離婚後に飼った猫のこと、その猫の死など、いろいろ泣けた。でも全然暗くない。全てを肯定し前向きなキョンキョン。大人だ。
私の淋しさも、罪も、全部背負って天国に旅立ってくれた愛しいあの子。人生最大の悲しみを知った私の心は少し強くなったと思う。・・・
「黄色いマンション 黒い猫」
生まれてから私に起こった全ての事柄は、清々しい気分で50歳の誕生日を迎えるために必要なことだったのだと思う。粛々と、その全てに感謝しながら、夜の海の、夜の波の音を聞いた。
数年年上の私もほぼ同じ時代に学生、社会人となったので、20代はよく原宿・表参道に遊びに行ったり待ち合わせをしたりしていた。表参道は昔からおしゃれな人やお店が多く、デザインを学び、仕事にしている私には行くだけで刺激となった。ピテカントロプスというお店には残念ながら行ったことがなかったけれど。竹の子族にはあまり興味がなかったけれど。オン・サンディーズ、まだあるんだ。懐かしかった。
表紙の絵は和田誠さん。黒猫を抱いて笑っているキョンキョン。ん?裏表紙には天使がいます。
今、気がつきました。エッセイの最初に可哀そうな黒い子猫の話が出てきます。和田誠さんはパラレルワールドで幸せな小泉さんと黒猫を描いたのですね。天使が魔法で彼女を笑顔にしてくれたんですね。優しい和田誠さん。泣ける。
表参道といえば今月、日経の「私の履歴書」は、山本耀司さんです。
表参道の交差点を少し下ったところに「カフェ・フィガロ」があり、好きでよく行きました。何回か山本耀司さんと川久保玲さんがランチをとっているのを見かけました。近くに仕事場があるのでしょう。もう40年くらい前のことです。
日経新聞「私の履歴書」は大好きです。皆、山あり谷ありのただ事でない人生を歩いて行くのだなあとつくづく思います。 「私の履歴書」は会社の会長・社長が多く(日経だから仕方ないか)、たまにベテラン女優さんとかおじさん目線の人選が多いのですが、今回はナイスチョイスです。(おそらく)会社内に発言力のある女性がちゃんと役職にいないと、おじさん目線の人選に偏り面白くなくなる。読者には働く女性も若者も多いはずなのでそろそろ新しい生き方とか多様性があればいいなぁ。
ファッションデザイナーはたまに登場する。高田賢三、森英恵、コシノジュンコさんのも読んだかも。
山本耀司さんの私生活は謎だと思っていたのでとても興味深いです。
今は亡き和田誠さんは、先日「美の巨人たち」に取り上げられていて、持って生まれた才能の人だったんだとつくづく思いました。何があっても絶対まっすぐに家に帰って奥様(平野レミさん)の料理を食べたんだとか。理由は奥様の料理が美味しく、あと何回食べられるかわからないから。。絵に優しさが出ていますよね。
私も昔から仕事を頑張ってきました。時代はまだまだ女性が仕事を続けるのは難しい時代でしたが、それなりにやりたいことはやりつくし、見るべきものもいろいろ見ることができたので満足です。そう、今ここに来るまでに経験したことはきっとすべて必要なことなんですね、誰にとっても。