2023年3月4日(土)東京文化会館。備忘録。
今年、ノイマイヤーが芸術監督として行う最後の日本公演とのこと。ハンブルク・バレエ団のメンバーが総出演だった。
クラシックとは趣を異にする現代バレエが中心のガラ。とにかくおしゃれであった。衣裳がシンプルでセンスを感じる。
個人的にはクラシックよりも好きかも知れない。
2年前に観たモーリス・ベジャール・バレエ団の時と同じく、ノイマイヤーが英語で語り、舞台の横に日本語の字幕が出る形。ノイマイヤーが自身の人生と踊りを語る。
ジョン・ノイマイヤーは、アメリカのウィスコンシン州ミルウォーキーの生まれ。母がミュージカル映画に連れて行ってくれて初めてダンスを観たという。子どもの時からダンスが好きだった。
第一部最初の「キャンディード序曲(バーンスタイン・ダンスより)」・・・インパクトのある少しユーモラスなミュージカル音楽がバレエのダイナミックな美しい踊りに!
次は「アイ・ガット・リズム」・・・ガーシュウィンがミュージカル「巴里のアメリカ人」のために作った曲。
最初の2つは全くクラシックではないが、とてもおしゃれ。男女共に同じタキシード風の衣裳だったり、とにかくかっこいい。
私はクラシック・バレエの言語に魅了されて多くのバレエを創ってきたが、「くるみ割り人形」は、バレエという偉大な伝統に対する私のオマージュであり続けている。
ジョン・ノイマイヤーの世界 Edition 2023
ノイマイヤーは「くるみ割り人形」のパ・ド・ドゥを振り付けている。
第一部の演目は、「くるみ割り人形」「ヴェニスに死す」「シルヴィア」「アンナ・カレーニナ」「椿姫」「クリスマス・オラトリオI-VI」と続く。
「椿姫」ではアリーナ・コジョカルが出演。
「クリスマス・オラトリオI-VI」・・・荘厳なバッハの宗教曲とノイマイヤーのコラボ?人間の精神世界を表現した、この世のものとは思えない美しさであった。深い赤の衣裳がシンプルで素敵。個人的に一番好き。
第二部は、「ニジンスキー」「ゴースト・ライト」「作品100ーモーリスのために」「マーラー交響曲第3番」
「ニジンスキー」・・・悲劇的な人生を歩んだ、舞踏家であったヴァスラフ・ニジンスキーを描いた舞台より。最後の方に軍隊を思わせる掛け声や音のある踊り。
「ゴースト・ライト」・・・コロナ禍のロックダウン下で作った作品。ノイマイヤーは日本の伝統芸能にインスピレーションを受けることも多いという。無駄なものをそぎ落とした身体表現が能を思わせる作品。
「作品100ーモーリスのために」は、友人モーリス・ベジャールの70歳のお祝いにノイマイヤーが創った作品だという。
クラシックの何回もクルクル回るピルエットや、リフト(チュチュの女性を持ち上げるやつ)はほとんどなく(椿姫以外)、動きも独特で時にユーモラスな現代バレエなのだが、人間の身体の美しさを表現していて好き。
リフトと言えば、ダンサー総動員で、正面を向いた男性ダンサーの背に女性が正面を向いて乗り、男女共に両手を上に広げて歩いてきたダイナミックはリフトを見た、と思ったのだがどういう体勢だったのか謎だ(腹筋や背筋がすごい)。。
日本の菅井円加さん(プリンシパル)が「キャンディード序曲」「シルヴィア」「ゴースト・ライト」「マーラー交響曲第3番」に出られており、とても美しく素敵だった。オペラグラスで表情もよく見えた。前にニジンスキーで見たアレクサンドル・リアブコもいた。
菅井円加さん頑張っているなぁ。応援してます。
ドイツ方面に行くことがあれば、是非ハンブルク州立歌劇場に舞台を観に行きたい。