モーリス・ベジャール・バレエ団 「BALLET FOR LIFE」独創的な現代バレエを観た(ロックとバレエの融合):音楽はクイーンとモーツァルト

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昨夜(10月14日)、凄い舞台を観ました!

モーリス・ベジャール・バレエ団の 「BALLET FOR LIFE(バレエ・フォー・ライフ)」。クイーンとモーツァルトの音楽を使い、ロックとバレエが融合した、独創的な舞台芸術でした。まさに芸術。

動きの基本はバレエで、全身の可動域をフルに使った動きがとても優雅で気品があり、かつきらびやかでユーモアがあり、美しかった。

バレエは、人の身体の美しさ、動きの美しさを最大限、見て楽しませてくれるアートだとつくづく考えさせてくれました。人間賛歌というか。。
照明もレモンイエローとブルーと白の組み合わせなどすっきりシンプルでとても美しかった。

数十人のカンパニーのダンサーが舞台に並んだ、フォーメーションの踊りが特筆すべき美しさ。時にコミカルな仕草あり、貴族のような高貴さをたたえたり。曲に合わせて完成していた。

バレエが大好きだったクイーン(Queen)のフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)は真剣にバレエをもっと普及させようと考えていたらしい。1979年に英国ロイヤル・バレエ団と共演までしたので、それとベジャールに何か関係があるのかと思いましたが全く別なのでした(笑)。

モーリス・ベジャール(1927年1月1日 – 2007年11月22日)は、スイスのローザンヌでベジャール・バレエ・ローザンヌを主宰。東洋の思想や日本文化への関心も高く、東京バレエ団に『仮名手本忠臣蔵』を基にした『ザ・カブキ』、三島由紀夫をテーマにした『M』などを振付けている。歌舞伎役者とも積極的に交流した。とのこと。(wikipediaより)

ベジャールは、クイーンの世界観が大好きだったらしい。同時期に一年違いでエイズで亡くなったフレディとダンサーのジョルジュ・ドンへの追悼の舞台だったのですね。
フレディ役はジュリアン・ファヴロー。
生と病気・死、愛、天国、ユーモア、生きている喜びなどなど、人の短い人生を観ているよう。

外国のバレエ団の好きなところは、多様性があること。肌の色、髪の色、髪型もいろいろ(女性もお団子だったりボブだったりロングだったり)でそこが安心します。個性がちゃんと見える。観る人に自由を感じさせる。窮屈じゃない。すき間がある。何事にもすき間は大事です。
日本人である大橋真理さん、岸本秀雄さんもいました。とてもかっこよかった。スイスのローザンヌでダンサーとして夢をかなえているんですね。。応援しています。

ベジャールは、クイーンの象徴的な存在だったフレディ・マーキュリーと、ベジャール作品でカリスマ的な存在感を放ったダンサーのジョルジュ・ドンという、同時期にともに45歳で夭逝した二人のアーティストへのオマージュとしてこの作品を創作しました。衣裳を担当したのは、80~90年代のファッション界の寵児だったジャンニ・ヴェルサーチ。彼もまたフレディやドンと同世代で、本作の初演を待たずに凶弾に倒れた犠牲者でした。

NBS:日本舞台芸術振興会

衣裳がこれまたアート。シンプルな色使い、上品で素敵でした。フォーメーションでも同じデザインではなく、少しずつ異なる。画一的とは真逆でちゃんと個性が見える。ひとりひとりが動く宝石のよう。

クイーンの音源は、ライブ音源も使い(ボヘミアンラプソディーなど)生き生きとした舞台。途中でフランス語のセリフも少々ありました。メッセージが前向き。イエス!とかアイラブユーとか英語もあったなぁ。

★一部英語の対訳:
きみの音楽を止めてすまない、ブライアン。「ブライトン・ロック」は本当にいい曲だけど、今は「みんなのための天国」が必要なんだ。

★一部フランス語の対訳:
「あなたはおっしゃいました。”戦いをやめて、愛し合いなさい”と。
だから、わたしたちは愛し合いました。
なのに、どうして、愛は戦いを強いるのでしょうか?


★ 使用曲は以下です。休憩なしの約100分。

「QUEEN」
イッツ・ア・ビューティフル・デイ
タイム
レット・ミー・リヴ
ブライトン・ロック
ヘヴン・フォー・エヴリワン
アイ・ワズ・ボーン・トゥ・ラヴ・ユー
カインド・オブ・マジック
ゲット・ダウン・メイク・ラヴ
シーサイド・ランデヴー
(予言者の唄)
テイク・マイ・ブレス・アウェイ
ラジオ・ガ・ガ
ウインターズ・テイル
(ザ・グレート・プリテンダー)
ミリオネア・ワルツ
ラヴ・オブ・マイ・ライフ〜ブライトン・ロック
ボヘミアン・ラプソディ
ブレイク・フリー
ショウ・マスト・ゴー・オン

「モーツァルト」
コジ・ファン・トゥッテ
エジプト王タモス
ピアノ協奏曲第21番
フリーメーソンのための葬送音楽K.477
協奏交響曲変ホ長調K.364

最後にはジョルジュ・ドンの生前に残された映像がスクリーンに映し出された。最初は無邪気な笑顔で踊っていたけれど、自分の病気のことを知った後に撮影されたものなのでしょう。最後は泣き顔になっていたのがとても悲しかった。私も泣いた。

カーテンコールも独創的。ベジャールの後を継いだ芸術監督のジル・ロマンが登場し、真ん中で左右から出てくるダンサーたちと握手していく。全員で後ろから前に向かって歩いてくる。
最後の拍手も鳴りやまず何度もカーテンコール。ダンサーたちも観客にエールを送ってくれるかのよう。泣いた。他のお客さんも泣いたと思う。

ギリギリ、コロナ禍が小さくなり奇跡的に開催できたタイミングですね。ほんと感謝です。忘れられない舞台になりました。パワーチャージできました。こんな舞台をまた観るために長生きするぞ。スイスのローザンヌまで観に行ってもいいかも(まず貯金だ)。

大勢のダンサーがフォーメーションで踊ることも多かったので、上の階から俯瞰して立体的に見られて奥行も感じられた。この舞台は少し上の階もおすすめです。下の画像は正面から撮影したものであまり奥行きが感じられないけれども。↓

これはロビーのスクリーンを撮影。カーテンコールの何度目か。フレディへのオマージュかも。

また、1年半会っていなかった以前のバレエ教室友達にバッタリ会えた。こちらもうれしかったなぁ。このお花の近くで友達を発見。↓

ロビーのお花
モーリス・ベジャールバレエ団・2021公演
モーリス・ベジャールバレエ団・2021公演・上野・東京文化会館。