NODA・MAP「Q:A NIGHT AT THE KABUKI」東京公演 東京芸術劇場

art/考えごと/観劇////////
  1. ホーム
  2. art
  3. NODA・MAP「Q:A NIGHT AT THE KABUKI」東京公演 東京芸術劇場

NODA・MAP 第25回公演「Q:A NIGHT AT THE KABUKI」を観た。2022年9月8日(木)東京芸術劇場プレイハウスにて。

9月11日で東京公演が終わり、ロンドン公演、大阪公演、台北公演と続くので(あまり)ネタバレできないが、野田氏の世界観を堪能できた。

出演者が豪華。座長に松たか子、上川隆也、広瀬すず、志尊淳、橋本さとし、小松和重、伊勢佳世、羽野晶紀、野田秀樹、竹中直人

作・演出:野田秀樹
音楽:QUEEN
衣裳:ひびのこづえ

野田秀樹氏の演劇、大昔の「夢の遊眠社」時代に一度、下北沢の本多劇場で観た。演目は忘れてしまった。飛んだり跳ねたりが多い舞台であった。

今回、広い劇場だけれどやはり飛んだり跳ねたり、登ったり下りたり走ったりかなり身体を使うようであった。踊るくらい体力を使うと思う。

配られているチラシの野田氏の紹介文が面白い。

この「Q」の成り立ちは伝説づくしです。5年位前のこと、伝説の方が恥ずかしがってしまうくらいの伝説の劇作家シェイクスピアのロミオとジュリエットの後日談のようなものを、私が考えていた折も折、なんとあのがつく、あの伝説のロックバンド「クイーン」の周辺から、あの伝説のアルバム「オペラ座の夜」を好きに使って、日本舞台にした演劇ができないものか、という話が舞い込んできました。
・・・・・・
折角、英国のクイーンと英国のシェイクスピアと英国かぶれの私の組み合せだもの、是非是非、英国にも逆凱旋公演をしようと、楽屋で盛り上がり・・(略)・・男優は「ヤロー」、女優も「野郎」と言い出したものの、やがてコロナが世界中に蔓延し、
・・・・・・
」でしか見られない。それが、舞台のいう名の伝説です。いらっしゃいませ~~。
野田秀樹

NODA・MAP「Q」イントロダクション

「古典古典(こてこて)の日本の伝説「源氏と平家の争いの物語」を絡めれば、こいつは面白くなるぞ!GO!」と、この舞台が出来上がったそう。

この文学的なチラシと同じくらい、素晴らしく面白かった。

役者も役者ぞろいなら、音楽はQUEEN、ひびのこづえ氏の衣裳もアーティスティック。作・野田秀樹氏。松たか子さん、広瀬すずさんも好き。竹中直人氏もいる。面白くない訳がない。

2019年の再演とのことだが、再演にあたって第二幕の後半の演出を変えたらしい。よりクリアに伝わるよう変えたとのこと。

やはり演劇の「面白い・面白くない」は戯曲を書く人の力量によるところが大きいのだなとあらためて思う。セリフ、衣裳、舞台装置、出方、動き、はけ方、照明、音楽。。。視覚的にも大きな空間がとても美しく立体構成されるよう考えつくされていた。
特筆するのは、舞台全体を覆うくらいのシフォンの布を使った仕掛け。

印象的で劇的なクイーンの曲。ブライアンのエレキギターにロジャーの迫力あるドラム。フレディーの通る歌声。
「デス・オン・トゥー・レッグス」「預言者の唄」「ボヘミアン・ラプソディ」・・・
特に「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」を聞くとこの舞台を思い出すだろう。

韻を踏むセリフ。ダジャレ等ところどころに笑いあり。当然、涙あり。いろんな感情を思い出させてくれた。演劇ってこんなに面白くできるんだ。
後半の最後、戦争の影。今、2022年に上演するのだから当然「戦争」を避けることはできないのだなあ、と思ったが、過去の演劇評(日経電子版)を見ると、初演時も戦争の場面はあったそう。思いを綴った手紙は、戦争によって「届かなかった」。。哀しい。

俳優さん達の良く通る声、舞台に立つために生まれてきたんだなあ。

全てを見逃すまいと、目が離せないうちにあっという間に終わった。

書くものはその人の頭の中を著す。(当たり前だけど。)
野田秀樹氏の知的な頭の中を垣間見ることのできる作品。

15分の休憩を含め、3時間。

Q
Q:A NIGHT AT THE KABUKI